名著「オセロの打ち方」よりオセロの起源

「オセロの打ち方」(長谷川五郎著、1981年)より一部引用します。

20160701オセロの打ち方

(オセロ)の完成は20世紀後半ということになります」
「ほう,そんなに新しいんですか。そうすると、20世紀前半にはオセロというゲームは存在しなかったんですか?」
「その原型なるものはずっと以前から存在したようです。私のいう意味は,その完成が今世紀後半ということなのですよ。それはチェッカーの原型が5000年前にでき,現在のチェッカーが400年前というのと同じ意味です。はさんだら取るというオセロの基本原理の発見はおそらく囲碁よりも古くチェッカーと同じくらいにさかのぼるでしょう。この原理を使ったゲームは,世界各国でいわゆるオモチャとして発売されていました。盤も円形のものや八角形のものといった変わったものから,八路、九路そしてなんと10路盤のものまで一時発売されたことがありました。
 しかし、黒と白の石を使ったものはありません。石も大豆つぶくらいの大きさのコロコロした不安定なもので赤と白の源平碁,リバーシ,ニップなどの名がありました。要するに子どものオモチャ以外のなにものでもなく,誰もそう思い,忘れ去られていました。ルールもいろいろなものがあったようです。

この後は、道具の重要性の話が続きます。

源平碁はGoogleで検索すれば現物の写真を見ることができますが、「大豆つぶくらいのコロコロした不安定なもの」には見えませんし、世界遊戯法大全によればリバーシは厚紙の駒を使っていて「コロコロ」はしそうもありません。そのように、丸ごと鵜呑みにはできない部分もありますが、「オセロの完成は20世紀後半」であって、「原型はずっと以前から存在した」ともはっきり書かれています。

長谷川五郎氏は、このようにちゃんとリバーシに言及した上で、「オセロは自分が考案した」と主張していたのであり、だからこそ、彼が自力でオセロを考案したという主張は信用に値するというのが私の考えです。仮に・もしもの話ですが、例えば「源平碁やリバーシは存在しなかった。はさんで取るゲームは私が世界で初めて考えた」などと言っていたら、大人になって世界遊戯法大全の記述を知った時点で全く信用をなくしていたでしょう。

私は「オセロの打ち方」を読んでオセロ強くなりました。赤線を引きまくって熱心に読んで今はもうボロボロで汚くなっています。オセロの世界の初期のことがよく分かりますし、何より文章が面白いです。ブリュッセルの「ストロンゲストマン」の話は、もう「伝説」ですよね。長谷川五郎氏はオセロの強さでも伝説の男なのです。

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